鬼飛(おにとび)ブログ
パラグライダーで飛んでるおっさんの雑記ブログです

改めてパラグライダーの安全基準を考える

 先日、エリアでジングライダーのカレラに乗り換えた方にお会いしました。




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 とても熱心にフライトをされている方でメキメキと腕を上げ、最近では大会にも出られて好成績を上げまくっている方なのですが、既に何度か怖い思いをしたと話されていました。また冗談交じりで、「各地で乗り換えた方々から、ENーBなのになんでこんな目に、と言う悲鳴が上がっている。」というような話しも聞きました。

 ジンのカレラが、EN-B機でありながら、ほとんどコンペ機レベルの性能を有する超高性能機と考えて良く、よってファンフライトだけで使用するフライヤーの方にとっては、その高い性能や高速性がむしろストレスになる可能性すらあると思われるグライダーであるということは、以前このブログでのインプレッション記事で書いた通りです。

 http://onitobi.blog20.fc2.com/blog-entry-1724.html

 そこで改めて、このブログでも何度も書いているのですが、ENなどといった安全基準についての認識について書いてみようと思った次第です。

 ENの基準は、『テストパイロットが静大気中で、意図的にグライダーの翼形などを潰し、その後コントロール動作などをせず、どのようなスピードや状況で回復まで至るかを、数値化して結果にしている。』ことを改めてしっかりと認識する必要があると思います。

 要するに、本来であれば非常に大切であると思われる、乱気流やソアリングにおいて、そのグライダーが潰されやすいかどうか。また、積極的で適切なコントロールを行って、回復しやすいかどうかなどについては、この安全基準値からは全く知ることはできないのです。

 そもそも、自然相手で色々な条件で飛び、色々な条件下で潰れたり、落ちそうになったりするのが通常の自然の中でのフライトですし、また、個人のコントロール技術の違いによる、素早い回復やより酷い潰れの誘発などといった問題もありますから、そんなもんを上手く平均化してデータにすることなど到底できません。

 しかし、それではなんの基準も無くなってしまうので、上記の様にある程度同じ条件下であると思われる静大気中において、同じ条件で翼の潰れを誘発させて、何もせずにどう戻るかを数値化して、「安全性の目安にしている。」のです。

 そうです。通常は静大気中でグライダーが潰れるようなことは、昔の超デンジェラスコンペ機であってもも、ヘボいパイロットが余程アホなコントロールをしない限り起きることはありません。本来潰れる時というのは、大気が荒れている=乱流が発生している時です。ですから静大気中での意図的な翼の潰れの回復データというのは、あくまでも、目安にしかならないのです。

 何度も同じことを繰り返し書いていますが、どうも多くの人が、この辺を勘違いされているような気がするので、アホの一つ覚えで何度も繰り返して書かせて頂いています。しつこくて申し訳ありません。

 なお、上記のようなことを書いておりますが、確かにENなどの安全性の基準値が、ある程度安全性と安定性を正しく表しているというのも、また事実です。個人的な主観が多分に入りますが、乱流中ではD機よりはC機の方が、C機よりはB機の方が、安心できるというのは間違いないのではないかと思います。

 ただこれは、潰れを起こさない適切なコントロールや、潰れが起きた時の迅速で適切なコントロールがあるからこそのものであって、決して「なんもせんでも直るから。」ということではない問題だと、個人的には強く強く思います。

 なお一般的に、翼の潰れについては、

<1>
 アスペクトが高い方が潰れやすい傾向にあります。

<2>
 翼面荷重が重い方が潰れにくく、また、潰れた時の復元スピードは比較的早いですが、しかし潰れた時の挙動は激しくなる傾向があります。
 よって初期の段階で適切なコントロールをせず大きく潰してしまった時などは、初期段階でコントロール出来ていないという技術的な問題もあって、激しい挙動を適切にコントロールできず、時にオーバーコントロールや、不適切な操作で余計に潰れを酷くするようなことも起きてしまいます。

<3>
 翼面荷重が軽い方が潰れやすく、また、潰れた時の復元スピードは比較的遅くなります。ただ、潰れた時の挙動は、比較的穏やかな傾向にあります。
 潰れた時の復元スピードが比較的遅いことにより、オーバーコントロールをしてしまい、潰れをより酷くしてしまう可能性があります。

 と、上記を見て頂いて分かるかと思いますが、潰れたグライダーを更に酷い状態にしてしまうのは、アスペクトの問題を除いて、グライダーの基準の問題というより、技術力不足によるオーバーコントロールや、不適切な操作など、自分の力量によるものがほとんどです。

 自分のことを思い出しても、落ちた時や大潰れを起こした時には大概、いらん操作をしています。ただ、だからといってなんもせんというのもダメなのが、特に高性能機と言われるアスペクトが高く、センシティブ(敏感)に動くことが多いグライダーでのコントロールの難しいところ。時に数十センチ、時に数センチコントロールすることで、劇的に上手く回復することがありますし、一方で、ちょっとした必要もない動きが危険度をより増してしまうこともあります。

 大会やクロスカントリーなどで使用する高性能機の場合、高速性能を使いたいが故に、上記2.で書いたように、比較的翼面荷重を重くして飛ぶことが多いと思いますし、そうでなければ高性能機を使う意味が無いと思います。これもこのブログで何度も書いていますが、高性能機に軽く乗ってプカプカ飛ぶなんてことは全くのナンセンスだと思いますし、そんなことをするんであれば、もっと楽に乗れるグライダーに重く乗ってギンギンに飛ばした方が、大会などでは余程調子良くアグレッシブに飛べると思います。

 ちなみにファンフライトでも、高性能機に軽く乗ってプカプカするなんて乗り方は、今の自分が昔のコンペ機に軽々の装備重量で乗ってしまっているかのようにアホな行為だと思います。性能は軽さで半減、それでいて潰れやすさはピカイチなんて、まさにアホ丸出しです。

 話しが脱線しました。なお、前記したように翼面荷重を重くして飛んで潰れると、上記に書いたように挙動が激しくなります。よって、その激しい挙動を抑えるためには、かなりシビアで適切なタイミングとコントロール量で操作をしなければいけませんし、そもそもそのようにならないよう、初期段階で未然に大きな潰れを防がなければなりません。

 これが高性能機のいわゆる「気を使うところ。」や、「高性能機に乗るが故の常に付きまとうリスク。」なのです。

 こんなもんはファンフライトでは基本全くいらないものです。楽しく飛びたいのにいつもドキドキとか、いつも気を使ってコントロールをチキチキとか、全く馬鹿らしいとしか言いようがありません。

 そんな事が必要なのは、大会に出て成績を出す必要がある場合か、クロスカントリーなどで記録を狙うパイロットのみだと僕は断言します。「だからそんなグライダーには、必要がない人は乗らんでもええ!」と、おっさんは常に声を大にして何度も書いているのです。

 ですから、EN-BやEN-Cでも、えらい良く飛ぶ高性能機と言っていいグライダーが出てきて、中々グライダーチョイスが難しい時代になってきた昨今においては、今まで以上に自分のフライトスタイルに合ったグライダーなのかどうなのかを、しっかりと見極めた上で購入する必要があると、そう強く思うのです。

 そんな訳でカレラ(スペイン語でレースの意)は、メーカーも公言していますし、自分もそう思いますが、完全に競技グライダーです。アスペクトもかなり高く、そういった高アスペクトのグライダーに乗り慣れていない方にとっては、潰れをコントロールするのも結構難しいかもしれません。

 よって、しっかり修行した上で乗らなければいけないグライダーだと思いますし、また、ある程度高い技術力がなければ楽しめないグライダーでもあると思います。

 一方で乗りこなせれば、間違いなくコンペやクロカンで結果が出るグライダーだとも思います。よって、グライダーコントロールに不安がある方は、大会用だからと温存することなく、どんどん千本立ち上げ(グラハン)をして、カレラでのコントロール能力を磨いて下さい。そして、何ら不安のない状態で、ギンギンにレースやクロカンで飛ばしてやって下さい。


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  1. 2014/05/10(土) 23:23:23|
  2. パラグライダー|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2

  

コメント

Pikaichiと申します。いつも鬼飛様のブログを楽しく拝見させていただいております。(うちにもらブラドールが居ますので、過去にはオクターブログも拝見させていただきました)

今回の件、全く持って同感です。また、私たち?の様に長いことパラをやっている者にとっては「機体は潰れるもの」と言う認識もありますが、最近は機体の安全性が飛躍的に工場して「潰れ」に遭遇すること自体が少なくなっている様に思います。普通なら潰れて然るべき状況でも潰れないために、それが技術によって回避されたのか機体が耐えてくれたのかがわからず、兆候を察知する能力、兆候を察知して素早く対処する能力を鍛えることが難しい時代になっているのではないか?と思うわけです。
とても難しい問題なのですが、少なくとも私の周囲にはこの様な状況を説明して、せめてグラハンでテンションの抜けの兆候や、その対処法などを徹底的に練習してもらうようにしています。
良く飛ぶ機体には、それなりの技術を人に要求するものだと理解し、技術を身に着ける覚悟をもって機体を選んでもらいたいと、生意気ですが思う次第です。

長文失礼いたしました。

  1. 2014/05/14(水) 19:42:30 |
  2. URL |
  3. Pikaichi #-
  4. [ 編集]

 久々に、パラネタでコメント頂きました。Pikaichiさん、ありがとうございます。

 オクターがいなくなった後も、黒でもイエローでも、ラブラドールレトリバーを見ると必ず心の中で、「オ~クタちゃん。」と叫ぶ自分です。

 おっしゃる通り、最近の初級機などは安全性も安定性も非常に高く、余程荒れていたり、ありえない程のオーバーコントロールなどをしない限り、大きく潰れることはないですし、また、多少潰れたくらいでは、何もすることなく通常滑空に戻る場合が多いですね。

 昔の、ファーストグライダーでも両方引きすぎるとフラットスピンとか、ストールに陥っていた時代を考えると、隔世の感があります。

 グライダー自体の著しい安全性の進歩は、安全なフライトに大きく貢献しています。しかしその分、不測の大きな潰れに対して、適切に対処できないという部分が初中級者の方にあるというのは、確かにあると思います。

 しかしグライダーが時として潰れるという事は、いつの時代でも、どんなにグライダーが進化しても、初中級者の方だけでなく、パラグライダーで飛ぶ人全てに必ずついて回ることであることかと思います。

 そのリスクをできるだけ減らすには、

「自分の力量にあった気象条件を選んで飛ぶ。」

「自分の力量にあったグライダーを選んで飛ぶ。」

「自分が乗っているグライダーを十分に乗りこなせる技術力をつけて飛ぶ。」

事が必要でしょう。

 そしてこれらをしっかりと実現するためには、結局、十分に練習するしかないんですよね。

 ただ、大会やクロカンなど、時としてリスクが高い気象条件で飛ばざるをえない人でなければ、ただ単に、潰れそうで楽しくなさそうな時は飛ばなければいい訳です。

 その場合、ある程度の基本的な技術力があれば、安全性が高いリスクの少ないグライダーでフライトする事で、昔に比べて格段に安全にパラグライダーを楽しめるのは、間違いないと思います。

 どんなにグライダーが進化しても、リスクが0になることはありません。リスクコントロールはだれでもない自分が行うのだということをしっかり心に留めた上で、リスクの高い条件で飛ぶ必要がある場合や、そんな時でも飛びたいと考えるのであれば、敢えて日頃からちょっときつい条件でフライト修行するとか、マヌーバーの練習をしっかりとプロに教わるとか、もうアホのように飛びまくるとか、グラハンをやりまくるとか、自ら積極的にリスク管理をする必要が有ると改めて強く思う次第です。

 またもしつこく、記事で書いていることを繰り返しまくっていますがすみません。

 コメント、ありがとうございました。

  1. 2014/05/14(水) 23:54:21 |
  2. URL |
  3. 高鬼 #bBUgYcK2
  4. [ 編集]

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