鬼飛(おにとび)ブログ
パラグライダーで飛んでるおっさんの雑記ブログです

初中級パラ講座 第3回 「テイクオフ」

第3回の今回は、「テイクオフ」についてお送りしていきたいと思います。


 パラグライダーのフライトにおいて、テイクオフはランディングと同じく、大きなプレッシャーとなる要素です。テイクオフを上手く行うには、基本に忠実であることが大切です。そこで改めて、テイクオフの基本をおさらいしてみましょう。

<ライズアップ>

 テイクオフの基本中の基本であるライズアップは、やればやるほど奥が深いと感じさせられるテクニックです。しっかり時間をかけて一生懸命練習しなければ、上手くなりません。

 また、ライズアップやグランドハンドリングは、空中でのグライダーコントロール技術にも非常に大きく関係してきます。地上においてのグライダーコントロールが上手でないのに、空中において上手いという事は基本的に考えられませんので、フライトが上手になる為にも、地上練習はとても大切です。

 よって、強風や風向きが悪くてフライトできない時などは、積極的にライズアップやグランドハンドリングの練習を行い、自分のグライダーをしっかりと立ち上げ、色々な風に対して自在にコントロールできるように練習していきましょう。地上練習をやればやる程、あなたのライズアップテクニックやフライト技術は向上していきます。

 では、次にテイクオフの仕方について説明をしていきたいと思います。

<テイクオフ>

 まず、フライトギアが適切にセッティングできているかを確認します。特にハーネスに関しては、ベルトの止め忘れやレスキューピンが抜けそうになってないかなどをしっかりと確認します。なお、もしできるのであれば、ベルトの確認に関しては、周囲の人にお願いしてダブルチェック(他者の目でのベルトの確認)をしてもらいましょう。

 ギアの確認ができたら、キャノピーをきれいに広げてラインチェックを行います。広げたグライダーの真ん中に立ち、Aラインの真中のラインが、均等に引かれるような状態になるよう、軽くラインを張った状態の位置に立ちます。

 肩の力を抜き、脇を締め、手は肩か脇の高さにし、肩の水平ラインの位置に置きます。手を前に出し過ぎると力が入りすぎたり、手だけでライザーを引くような形になってバランスが崩れ、失敗する確率が高くなります。

 なお、女性などで力がなかったりする方は、肘の位置を腰の横にして手を広げて腰の位置にして、腕の力を使うことなく、体全体でライザーを引っぱっていく形で立ち上げた方が上手くいく事があります。 

 ライズアップを始める時は、自分の前にテイクオフしたグライダーの後流(進行するグライダーのキャノピー後方に発生する乱流)を避ける為に少し時間を置き、他の人と同時にテイクオフすることや、周囲の人に注意を促すために「行きます。」などと声をかけてから行います。

 膝を軽く曲げ、どちらか一方の足を前に出し、テイクオフ斜面に垂直に立つように軽く前傾します。正面からライズアップに適切な風が入ってきている事を、吹き流しの目視や自分の体感で確認したら、ゆっくりと風が吹いてくる方向に向かって加速を始めます。なお、風の方向と自分の位置及びキャノピーの中心線、また、キャノピーの向きに大きなずれがあるような場合は、失敗する事が多くなりますので、そのような場合は適切にグライダーを引きなおしたり、自分の位置を変えたりして修正しライズアップを行います。

 エアーインテークに風が入り始め、ライザーに重さを感じ始めたら、左右のライザーに均等なテンションがかかっている事を確認しながら、更に加速を続けていきます。この時、ライザーに均等なテンションがかかっていなければ、グライダーが既に傾いているか、もしくは自分のライザーを引く手の力が均等でないが故に、グライダーを傾かせてしまう方向へと持っていってしまっています。

 グライダーが傾いている場合、例えば右のライザーにはより強いテンションがかかり、左のライザーにはあまりテンションがかかっていないような時は、右側の翼が左より上って傾いており、あなたはグライダーの真中から、右側に位置する形になっています。

 このような場合は、ライザーのテンションが均等に戻り、また、グライダーの真中へ戻れる左方向に自分が移動して、グライダーの傾きを修正してやらなければいけません。グライダーが傾いた場合、位置移動をするより前に、ブレークを引いてしまう方が多いように思いますが、それでは中々上手く傾きは直りません。グライダーが傾いた時は、まず最初に自分がグライダーの真中位置に移動し、それでも傾きが直らない場合にブレークを使うという形で修正すると、より楽に傾きを修正できます。

 なお、ブレークコードを使用してのグライダーの傾きの修正は、すばやく、それでいて微妙なブレークコントロールが必要になる為、特に初心者の方にとっては非常に難しいと思います。よって初心者の方においては、まずライズアップに際してグライダーを傾かせないようにすること、そして、傾いた際はまず自分の位置を移動してグライダーの真中に戻るという事を心がけられると良いと思います。

 さて、グライダーが傾くことなく上がり始めたら、それに合わせるようにゆっくりと手を上にあげていきます。グライダーがしっかりと上がったら、ライザーから手を離し、グライダーが先走るようであればブレークを少し引いてグライダーを押さえ、更に加速します。なお、斜面が緩やかであったり、風がそれなりに強くて、グライダーが先走らないような時はブレークを押さえる必要はありません。

 その後、グライダーが完全に浮ききるまで、大股で斜面を蹴るような形で、しっかりと加速し続けていきます。

 以上がフロントライズアップでのテイクオフの基本です。

 次は、上記ライズアップやテイクオフの基本を、風の状況によって変えていかないといけないという事について説明していきたいと思います。

 ライズアップが完了するスピードは、風の強さと、助走のスピード(グライダーのスピード)によって変わります。

 風が弱い時は、エアーインテークに入ってくる風の量が必然的に少なくなる為、しっかり助走することで風を取り込んでやらなければグライダーは上がってきません。グライダーの上がり方は風の強い時に比べるとゆっくりになりますので、グライダーが傾かないように手の位置を動かすことなく、どんどん加速していくことが必要になります。なお、助走スピードをある程度速くする必要がある上に、風が弱い事によりグライダーが自分の位置より前に先走り、追い越していく、「かぶり」を起こし易くなるため、ブレークでの押さえが必要になる事もあります。

 また、風が強い時は、エアーインテークに入ってくる風の量が多くなりますので、あらゆる動作をゆっくりやらないと、グライダーが凄い勢いで上がってきてかぶったり、激しいスピードで傾いて修正できなかったり、強風にあおられて転倒するなど、危険な目にあう可能性が出てきます。

 よって強風時は、助走をするというよりもグライダーが上がってきたら、上ってきたグライダーの下に入るような形で、場合によっては後ろに下がるといった、強く上がってこようとするグライダーの力を逃がしながらの立ち上げをし、しっかり上がった後に、揚力を得る為に加速していくという形をとるのが良いと思います。

 なお、グライダーのかぶりを抑える為のブレーク操作には、かぶりを抑えるだけでなく、迎角を少し上げる事により、揚力を発生しやすくするというメリットもあります。ただ、昨今の初中級機に関しては、非常にピッチ安定が良く、また、浮きが良い(沈下率が低い=滑空比が良い)事もあり、余程グライダーに急激な動きをさせるような動作や操作がない限り、かぶることもあまりなく、また、揚力の発生も昔に比べると格段に早くなっていると思いますので、揚力発生の為に押さえるという行為には、以前ほどのメリットを個人的には感じません。

 よって押さえに関しては、テイクオフ斜度が非常に急峻であったり、フォロー気味の風でのテイクオフで、グライダーの前進スピードが非常に早くなる為に、胸の下くらいまで押さえてテイクオフしなければいけないなど、極端な条件や状況下でないかぎり、あくまでも「軽く押さえる」程度の感覚でいいのではないかと思います。 
 
 なお、テイクオフにおいては、基本的に加速する事が飛び立つ為の非常に重要な要素ですので、グライダーに揚力が発生してくるまでは、グライダーが先走るような事がなければ、押さえることなくフルグライド(トリムスピード)もしくは、ブレークの遊びがない状態で、これ以上ブレークを引くとトレーリングエッジが引かれるというブレーク位置である「ニュートラル」で、飛び立つまで加速し続けるというのが、良いかと思います。

 ただ、前述した通り、テイクオフの斜面が非常に急である場所や、テイクオフの助走があまりとれないような狭いテイクオフの場合は、斜度が急である為に先走りやすいグライダーを押さえる行為や、助走距離が少ない故に、立ち上げた後しっかり頭上安定させ、安全を確認した上で助走する為にグライダーを止めるべく押さえるといった行為が必要になる事もありますので、そういった若干イレギュラーな場合にも対応できるよう、講習場で様々な斜度において練習をし、どのような状況でどのような操作が必要かをしっかりと把握し、状況に応じて使い分けられるようにしておくと良いでしょう。

 なお、テイクオフについて個人的に非常に安全であると思う方法があります。それは、「テイクオフまでの動作のほとんどを、限りなくゆっくり行う。」という事です。

 ゆっくりと立ち上げ、風がそこそこある場合などは一度頭上で止め、しっかりと立ち上げできている事を確認し、ゆっくりと押さえていたブレークを戻して加速を始め、急激に加速することなく、スムーズに加速しながら、安定して離陸をする。というのが、安全なテイクオフの理想ではないかと思います。動作がゆっくりであれば、取りやめもすぐにできますし、何かあった時も、早く動いている時に比べれば、格段にリスクは少なくなります。

 ただ、テイクオフ動作をゆっくりやる為には、基本に忠実な精確な動作と修正技術、コントロール技術などが必要不可欠となります。これは、理屈だけを頭に入れて会得できるものではなく、正しい理論をしっかりと頭に入れた上で、様々な条件、状況で多く練習し体が覚え込むくらいのレベルになっていて、テイクオフ時に慌てることなく、グライダーを見なくても、どのような状況になっているかを自分でしっかりと把握できるようになっているようでなければ、残念ながら実践する事ができません。

 よってフライトの安全の為にも、立ち上げ練習やグランドハンドリング、そしてテイクオフの練習を、講習場で沢山練習される事を、強くお勧めします。

<テイクオフ後>

 さて、無事にテイクオフできても、安心しきってしまってはいけません。

 山際の風は、時として非常に流動的です。サーマルブローや、風の強弱による乱流、林や、尾根・谷間等の地形によるローターや、サイドからの風の巻き込みによるローターなどに十分注意しましょう。

 テイクオフして山際をある程度離れるまでは、すぐにハーネスに座ろうとしたりせず、上記乱流に注意しながら、グライダーが揺れる事なく、安定して直線飛行を確保できているのを確認してから座るようにしましょう。テイクオフ直後のツリーランディングでよくあるパターンは、安定した直線飛行を確認することなく、すぐさま座ろうとしてグライダーが不安定になったり、また、山際の乱流に叩かれたり、サイドからの風に流されて進行方向が急に変わってしまったりして起こる事が多いですから、注意しましょう。

 なお、ハーネスにかなり時間をかけないと座れなかったり、グライダーが揺れる程、体を揺らさないと座れないというような方は、シミュレーターで座り方の練習をすると良いでしょう。なお、ハーネスのセッティングが適切でないせいで座りづらくなっている事もありますので、ハーネスに座りづらいという方は、ハーネスのセッティングもチェックしてみてください。

 以上、今回はテイクオフについてお送りしてきました。次回は、直線飛行のやり方についてお送りしていく予定です。


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  1. 2010/08/18(水) 23:17:33|
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