鬼飛(おにとび)ブログ
パラグライダーで飛んでるおっさんの雑記ブログです

オレたちの深夜特急 インド編 「バスの旅での衝撃」

僕がジャイプルから乗ったアーグラー行きのバスは、なぜか田舎道で突然に停まったのだった。



停まったバスの前には、長蛇の列をなして同じように車が停まっていた。そして、その車に乗っていたらしい多くの人々は車から降りて、何事が起ったのかと前方へと向かって歩いていた。

しばらくの間大人しく車内で待っていた僕だった。が、数十分してもバスは全く動く気配もなかったので、僕も前方を見に行く事にしてバスを降り、歩き始めた。

前方に行くにつれ、その場の雰囲気が何か緊張した物々しいものに変わっていくのを僕は感じた。行きついたところには人々が群れ、その中央に女性らしい人が横たわっていて、それを囲んだ人々が、ただならない雰囲気の中で口々に何かを叫び、泣き、言い争っていた。

「これはかなりやばいな。」そう思った僕は、周囲にいた人に小声で、前方で何が起こっているのかを聞いてみた。

すると、僕のつたない英語力では詳細までは分らなかったのだが、どうやら何かのいさかいがあり、女の人が殺され、人々が警官ともめているのだという。

「外国人がこういう所にいるのは危ないから、早く戻った方がいいよ。」僕に状況を説明してくれた人はそう言った。確かにその通りだと僕も思い、早々にバスへと戻った。

僕は、「人が殺されているのを目の前で見る。」という、衝撃の体験をしたのである。

オレンジ色のサリーがかけられていた人が、殺された女の人だったのだろう。ただ、それを見た僕は、何故だか非常な衝撃という感はなかった。死を目撃したという事を認めたくないが故なのか、まるで感情を遮断したかのように、僕の感覚は平坦だった。

ただその状況が、今思えば僕の激しい衝撃を物語っていたのかもしれないと思ったりもする。しかしその時の僕は、感情の起伏のない自分に怖さすら感じていた。

僕が戻った後も、バスはしばらく動くことはなかったが、停まってから1時間以上たって、人が一人死んだ事なんか全くなかったかのようにまた走り始めた。

しかし、この日のバスの旅は、それだけでは済まなかったのである。

とある踏切で電車の通過待ちで停まったバスは、電車が過ぎた後も動くことはなかった。運転手が降りてしばらくして、やっとまた動いたと思った数十分後、どこかのバスステーションでまたも停車。そこで僕らはなぜだか全員バスを降ろされたのだった。

隣に座っていたにーちゃんに、今度は何が起こったのかと聞いてみたのだが、ヒンディー語で言葉が全く分らなかった。ただ、身振り手振りでなんとなくわかったのは、バスが故障したらしいということだった。今度は英語が話せる人を探して更に聞いてみると、しばらくするとバスは戻るということだったのでチャイを飲んで待ったが、元々のバスは戻って来ることはなかった。

別のバスがやってきて、僕らはそのバスに再び乗り込んだ。僕が周りの人になんだかんだ聞いていたので、インドのおにーちゃんが「外国の人!このバスに乗るよ。」といった様な事を言ってくれたのだ。もしそうしていなかったら、元々のバスを待ち続けていたであろう僕は、多分置いてきぼりを食らっていただろう。

僕に声をかけてくれた彼らの親切心は、とてもありがたく本当に助かった。

バスは当初の予定より2時間弱ほど遅れて、21時頃アーグラーについた。ただもうその遅れは僕の中ではインド的には予定通りだったが・・・。

バスステーション横の食堂で、10ルピーの今回最安値となるターリーを食べとても満足した僕は、その店のおやじと感謝の握手を交わした。そして、リクシャーをやとって途中いつもの「安いからここまでしか走れない。」とか、なぜかその時に現れる無関係なインド人の「確かにそれは安い、もっと払ってやんなよ。」という攻撃を、これまたいつもの「んじゃあお金は払わないよ。」攻撃で打ち砕きながら安宿に到着した。(途中で現れるもっと払ってやんなよという横槍を入れて来るインド人は、多分リクシャーワーラーの仲間なんじゃないかと僕は思う。)

するとその安宿の受け付けも、これまた悪インド人だった。ドミトリーはないと言い、80ルピーのダブルルームに案内。シングルがあるだろうと散々言って、やっと50ルピーのシングルルームに連れていく始末だった。

疲れから早々に寝ようと思っていた僕だったが、なぜか目がさえて眠れず、2時頃まで起きてしまっていた。やはり昼間の衝撃がまだどこかに残っていたのかもしれない。

「ほんとインド、色々とスゲーところだよ。」

色々な事を思い出しながら、とりとめのない思考の波に溺れつつ、やっと僕は眠りについていったのだった。

つづく


この記事は、リンクコラム形式になっており、記事中にも出てくる熊猫師(師)のブログ、「BBB」Baseball馬鹿 Blogでは、同時期における、彼の視点から見たアジア旅行について書いています。楽しんで頂けるかと思いますので、

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「BBB」 オレたちの深夜特急シリーズ
是非ご覧下さい。

※このアジア旅行は1996年から1997年にかけてしたものです。現在の各地の現状とは大きく違うと考えられますので、旅行者の方の情報源とは成り得ないと思います。ご注意下さい。


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  1. 2010/07/07(水) 22:46:55|
  2. 俺たちの「深夜特急」|
  3. トラックバック:1|
  4. コメント:5

  

コメント

こりゃ、またすげぇ!

インドでは何が起こるか分からないよね。
そして、何があってもそれがインドだもんね。

ターリー10ルピーか、まだ高いな。

  1. 2010/07/24(土) 21:18:22 |
  2. URL |
  3. 熊猫刑事 #-
  4. [ 編集]

言葉が分らない事による

事態の深刻さの把握希薄とか、インド入りしてからの連日に及ぶカルチャーショックな日々が、俺の感覚を麻痺させてた感も強い。

だから今でも、あの時の事は現実ではなく夢のように感じたりもするなあ。

しかし、ターリーの10ルピーって高い???

俺ってターリー全体的にぼられてるのかな・・・?ベースインドでは現地人価格では食事できてないなとは常々思ってはいたけど。

最安でも8とかだった気がするんだけど、師の最安って5とか6とかなの?北と南での物価の違いとかもあるよね。

俺、この旅の日記で何故だかあまり食事の事や、食事の価格について書いてないんだよね。結構旅の際の食事って大事だと思ってたのになあ。まあ、めんどくさがりだから書いてないんだと思うけどね。



  1. 2010/07/25(日) 19:14:34 |
  2. URL |
  3. 高鬼 #bBUgYcK2
  4. [ 編集]

ターリー

ローカルプライスで買い物するのはツーリストはほとんど無理だと思う。

オレの場合、ターリーは7ルピーって決めていたよ。
多分、これもローカルプライスではないだろうな。

今、どうなってんだろ。物価って。
娘の保育園にけっこうインド人がいるんで、仲良くなって聞いてみるかな。

  1. 2010/07/26(月) 13:24:09 |
  2. URL |
  3. 熊猫刑事 #-
  4. [ 編集]

ローカルプライス

中国・ヴェトナムなどの共産国圏には、この当時厳然と外国人プライスというものが存在したし、ここインドでは、ローカルプライスというものが存在してたし、アジアでの買い物は色々と、俺らを悩ませるなんだかんだがあったね。

インドのローカルプライスで思い出すのは、子供がサモサかなんか買ったのを見てて、その子供が払った同じ金額を渡してみたところ、「そんな金額で買える訳ないだろ!」みたいな感じで鼻で笑われた事だなあ。

「いやいやいやいや、人によって値段違うのかよ!!」って凄いびっくりしたもんな。

まあ、けど今思えばそれもヒンディー思想的な「持ってる人は多く施す。」って感じ
からきてるのかもしれないけど。

しかし、ターリー7ルピー設定。(当時のレートで約20円)安いねえ。あまり食事価格の記述のない俺の当時の日記をちょっと調べてみたけど、7ルピーとかは出てこなかったなあ。安くて10とか、高いと20とかで食べてる感じだな。

これって、なんだかんだで俺がツーリスト系の飯屋で飯食ってるからかもしれないな。

あと、日本にいるインドの人って、ベースは結構マハラジャ系なんじゃないだろうか・・・。実家にはコックいますみたいな。

定食屋のターリーなんて食ったことないんじゃないだろうか。

師が、当時の話しなんかしたら逆に驚くんじゃないの?

  1. 2010/07/28(水) 00:55:51 |
  2. URL |
  3. 高鬼 #bBUgYcK2
  4. [ 編集]

そうかも。

娘の同級生の子は日本の家でお手伝いさん雇っているくらいだから。
日本でもマハラジャだよ。

日本に住んでいる(近所に住んでいる)インド人は皆お金持ちそうだよ。

しかし、インドに出店したCOCO壱番屋の成否はどうかね。
オレは失敗すると見た。
米はインディカ米かな。
それでも厳しいと思うな。

  1. 2010/07/30(金) 00:48:18 |
  2. URL |
  3. 熊猫刑事 #-
  4. [ 編集]

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  2. 「BBB」