鬼飛(おにとび)ブログ
パラグライダーで飛んでるおっさんの雑記ブログです

己の飛べる風

己の飛べる風の範囲基準を、己の判断によって決めるというのは非常に難しい事と思います。

しかし、この基準を作る事は、初心者であっても上級者であっても、パラグライダーで安全に飛ぶ為に、等しく重要なことであると思う次第です。



ちなみに、この己の飛べる風の判断があまりできないという方々が、スクール生と呼ばれるパイロット未満の初・中級者の方々になります。

初・中級者の方々については、その人にとってこの風でのフライトはあり得ないという、ろくでもない風をその頬に受けつつ、「これ位の風なら自分、全然飛べますよ。」などと、まるっきり己の実力を知らないアホ発言をしない限りは、その判断基準が多少甘くても全く問題ありません。

また、その基準が辛すぎても、これまた全く問題はありません。むしろ辛すぎる場合、その慎重さは、安全に対して高いリスク管理ができているとして称賛されるべきであると思います。

しかしパイロット以上の方に関しては、「自己の判断において、安全にフライトする実力を有する。」という前提の元に、自由にフライトする権利を管理エリアにおいて許されている訳ですから、己の飛べる風の上限が己でよく分からんなんて事は、あってはならないと言えるかと思います。

(本来、管理されていない場所においては、フライトに関しても本人の自由が尊重されるべきだと思います。しかしその場合、法的に問題のないよう全て自分で段取りをする必要があるでしょうし、また人道的にも問題のないように十分に配慮する必要があるでしょう。また、そういった自由な行動による事故や瑕疵については、全てを自己の責任により処理しなければいけないという必要が当然あると思います。しかし、時として管理エリアですらそういった当たり前の事が守られないフライトが行われているように思う事もあったりします。)

ただ、そう言われても、やっぱり難しいですよね。己の飛べる範囲の判断基準。

こんなえらそうなことを言っている僕も、ライセンスだけのエセパイロットになりたての頃は、多くの己の実力を己で正確に把握していないが故にアホなフライトを多くかましまくり、様々な危険な目にあってきました。そして時として、他の方に迷惑をかけてきました。大きな怪我や事故を起こさなかったのは、ただただラッキーだったと言えるかと思います。

しかし、最近は昔ほどには無理をしないようになりました。なぜなら「無理をしてフライトをしても別になんもいいことないから。」です。

ただ、もしかするとこういう心理にここ数年なってきたのは、昔それなりにパラでアホな事をして、スリルを体験することにちょっとした快感を覚えるというアホな時期を体験してきたからもあるかもしれません。ですが、だからと言ってそういう体験が、絶対的に必要だとは言えない訳です。とても危険だというまではいかないレベルにおいて、ある程度リスクを背負ったチャレンジをすることによる実力のかさ上げは、安全なフライトや、よりアグレッシブで上手なフライトに、必要だと言う事は強く思いますが・・・。

そんな訳で最近は、ベテランフライヤーの方々、特に僕よりお年を召した方や経験年数が長い方の、素晴らしい己フライト可能判断基準値の設定に、惚れ惚れする事が良くあります。そこで、数例を紹介してみたいと思います。

ある方は、ある程度以上の風の強さや荒れ気味のコンディションになると、そこそこ条件が良く、また僕的にはその方ならフライトに特に問題がないという状況であっても、決してフライトをされません。気長に自分が許す風の強さや条件に落ち着くまで待たれ、そしてご自分で納得のいく条件になれば、軽やかにテイクオフされ、そして大変失礼な言い方ではありますが、そのお年では考えられないような、アグレッシブで鮮やかな、それでいて十分に安全を確保された素晴らしいフライトをされます。

また、ある方は、年齢的に長時間飛ぶことは体に負担がかかるからと自制され、一日一本で、またフライト時間をも決め、どんなに条件が良くても、一本だけしか飛ばず、また設定した時間まで飛べば降りて来るという事をされていました。

その限られたフライトを目一杯に楽しむ為、その方は荒れているような条件は避け、いい感じでソアリングできる時間帯にテイクオフされ、軽やかにソアリングをし、そして、そんないい条件故に降りづらい状況であっても、正確な判断でシンク帯をうまく使い、また、時として自己の有する降下手段を駆使し、ほぼ時間通りに降りて来られていました。

その方は時として他の人に、「この風やったら行けるで!」などと、ともすれば煽りともいえるような発言をたまにされていましたが、僕はその言葉を、僕らに対する、『フライト可否の自己判断基準に対する挑戦。』なのではないかと、深読みかもしれませんがそんな風に思ったりしていました。なぜならその方はそんな風に言っておきながら、自身は、自分の風だと思っていない時は、決して飛ぼうとされなかったからです。

上記の様な方々は、概して自己の判断の基準値に大きなぶれがありませんでした。僕の様に、テンションや体調、気分や精神的なものによって、行ける行けないの基準がかなりぶれてしまうというアバウトなものではなく、芯が通った、ある意味では頑固と言ってもいいような、ぶれの非常に少ない基準値がしっかりと設定されているのです。

この基準値は、長年のフライト経験と知識、そして、自己の安全確保に対しての強い意志があってこそ、培われ設定されたものだと思う訳です。そういった蓄積した物による基準は、からかいや、自己のテンションや、安物のライバル心やプライドでは揺るぐことのない値になっている事が多いと、僕は思う訳です。

だからそういった基準を持っている方を、僕は素晴らしく素敵なフライヤーだなと強く思うのです。そして、その強い意志と安全への意識に強い憧憬を持ち、あんなぶれない基準を持ったフライヤーになりたいなと、そう思うのです。



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  1. 2010/05/09(日) 19:58:33|
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