鬼飛(おにとび)ブログ
パラグライダーで飛んでるおっさんの雑記ブログです

リスクのあるフライトには

先日、久しぶりに若干リスキーなフライトをしました。


で、リスクのあるフライトには、それを危険でないようにするための十分な考察と対策案、また、それらを正確に構築するための経験が必要であると改めて思った次第です。

 その日は、僕がフライトするまでは正面もしくは多少サイド目から弱めのそこそこ悪くない風が入っていたのですが、僕がフライトする前には、テイクオフ周辺の風は完全に変わっており、ほぼフォローの風が本流となり、風の強弱に波がある形で、数分に一回場の風が収まるようなことがあるものの、それ以外は結構な強さで入っているという状況でした。

 なお、ランディングの風はそれほど強くないものの、テイクオフから見える地上遠方にある野焼きの煙などは、テイクオフと同じ向きの風に変わっており、場の風の本流はテイクオフと同じフォローの風に変わっていると予測される状況でした。

 通常であればこの時点で、フライトしても楽しい状況ではなく、リスクも少なからずあると判断し、取りやめるのが当たり前ですが、その時はやむを得ない事情で、シビアな自己判断により、リスク程度が重大でなければ、フライトすることが必要な状況でした。よって色々と自己判断して、以下のような結果を出しました。

○ 夕方であり、また曇りがちであるため、サーマルは活発ではないであろう。
  よって、ブローで荒れているという事はあまりないであろう。

○ 風の強弱によるコンバージェンス的な荒れについては可能性があるが、
  ランディング付近の風の動きでは地上付近にそのような傾向・兆候はないと思われる。

○ 風向きが劇的に変わるという形でのリスクは、しばらくはないだろう。

○ 以上の事から、空中及びランディングに関しては、リスクが非常に高い
  ということはないであろうと考えられる。

○ よって一番の問題は、フォローもしくはサイドからの巻き込みにおいての
  テイクオフの問題。およびテイクオフしてからのかぶりに対しての対処だろう。

 という事で、自分にとってこの場合の最大のリスクはテイクオフであると結論しました。しかし、テイクオフにリスクがあるというのは、パラにとって、ランディングに次いでリスクが非常に大きくなる事柄であるともいえます。

 よって、テイクオフのタイミングは非常にシビアにとり、事前に想定される、立ち上げ時、助走時、浮き始めなどのリスクとその対応について、更にしっかりと考えた上で出ることにしました。

 結果、テイクオフのタイミングは、強弱の波のあるフォローの風が若干収まり、テイクオフ周辺は極々微フォローという状態で行い、立ち上げや助走にもかなり神経を使い、また飛び出してからのコース取りも細心の注意を払いつつ、こと細かな挙動修正を行いながらフライトをしました。

 幸い、空中では思っていた以上に風の波がなく安定しており、ランディング近辺で風の強弱によるコンバージェンス的な状況によって、下がらずにグラグラするという状態はあったものの、更なる低空では気流が乱れている事もなく、無事にフライトを完了することができました。

 で、このように書いてくると、「時としてリスクのあるフライトをするのも悪いことではない。」と主張しているようにも思われるかもしれません。が、「決してそうではない。」という事を主張したいのが、今回の記事の主旨だったりします。

 こういったリスクのあるフライトをする場合であっても、自分の技量のマックスを100とすると、最悪の状態を想定した場合ですら、そのリスク数値は60~70以内で収める事が絶対条件である。つまり。リスクフライトといえども、結局その実は、自らに大きな実害はないフライトで収めておかなければいけないという事がいいたいのです。

 ちなみに、僕が上記のフライトで事前に出したリスク値は、最悪の状況を想定した場合で、60~70位だったのですが、実際にフライトして思ったのは、一番嫌な感じの時でも、50位で抑えられたのではないかという感じでした。

 「若干リスキーなフライト。」と、記事の最初には書きましたが、期間だけは長く飛んでいる経験上、さすがにそうでかいリスクを取ってフライトするようなことは、今ではほとんど無くなっているのです。

 ただ、これはある日突然そうなった訳ではありません。未熟な時は多分、リスク値130とか150とかでフライトしていたことが何度もあるでしょうし、実際、そんな時に飛んだであろうから、落ちた経験もあります。ただ、そういった経験や、その時のデータは、現在の正確なリスク数値の算定や、判断に非常に役立っていると思いますが・・・。

 僕の場合、非常に未熟であった時期に、とても良い師匠というものに巡り合えなかった故、未熟期のほとんどを独学で進んできたからこういったことになってしまっていますが、他の方には、僕と同じようなリスクを取った上で経験値を増やすようなことはないようにして頂きたいと、切に思うのです。

 よって、日頃のフライトで、リスク値20~40でフライトしている方が、時として多めに見積もって50~60位のリスクフライトに挑戦されることは、技量の向上や、リスクという事を実際に経験するという意味合いで非常に良い修行だと思います。

 また、それを行う事で、リスク値のベースが技量向上によってかさ上げされるとも思います。が、リスクの判断もできず、特に根拠もないのに、そういったリスクフライトをするようなことは、怪我のリスクが高いスカイスポーツにおいては、『自殺行為』であると、自分の経験上からも強く思う次第です。

 また、リスク値というのは人によって違います。同じリスク60であっても、初心者と上級者の方では、その技量の違いからその相対的位置は大きく違う訳で、そのあたりも含めて、しっかりと自己の力量やリスクを判断できる能力が必要かと思う訳です。

 そんな事を書きながら僕自身、以前は、その辺について全然分かっておらず、よく「これくらいの条件なら出れるのに、なんで出えへんのやろ。」とか、他の方のフライトについて、そんな風に思っていたりしたものですが、今では、安全マージンが非常に高く設定してあり、大丈夫そうな時でも念の為に止めておくというような方の場合、フライトの安全という面において非常に尊敬するべきパイロットであると思うようになりました。

 ただ、そう思うのはベテランパイロットの方で十分に技術がある方の場合で、まだまだ練習が必要な初中級者であったり、より技術の向上を目指す上級者の場合では、自分の技量範囲内だけで徹底してフライトするというのは、技量の向上がストップしてしまうということでもありますので、安全な範囲で徐々にリスクを増やしていくという練習も必要かと思います。

 まあ、初心者にとってはサーマルソアリングもまたリスクフライトですし、今まで経験したことのない強風時のフライトもまた、リスクフライトな訳ですので、誰もがリスクフライトをしながら技術を向上させていっている訳ですが。

 という事で、リスクフライトに関しての考え方の一つとして、この記事が参考になればと思う次第です。


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  1. 2009/11/04(水) 00:08:54|
  2. パラグライダー講座|
  3. トラックバック:0|
  4. コメント:2

  

コメント

決して揶揄しているわけではありません

U4生坂で見せていただいた時のエキサイティングなフライトのリスク値は、テイクオフ前・ランディング後でどのくらいだったでしょうか。
レベルが全く違うので、参考にならないとは思いますが、ホーム・エリアではリスク値40位まで、大会では80位にしているつもりですが、落ちたのは2度ともホームなんです。
気合が入っていないと×なんですかねー。

  1. 2009/11/06(金) 19:40:09 |
  2. URL |
  3. ちょっと休憩中 #BLIo3.Xs
  4. [ 編集]

あれですか

良くご存知ですね。

ちなみに、この時のフライトについてはこのブログでネタにしているので、

http://onitobi.blog20.fc2.com/blog-entry-966.html

↑ こちらをご覧ください。記事にも書いていますが、あのフライトは全くあほフライトでした。

で、リスク値ですが飛ぶ前は60位かなと思ってました。

飛んだ後、強い風より思った以上にその嫌な波のある吹き方にまずったなと思った訳ですが、空中では強風とはいえそれなりに前には出るし、また落ちるほどの荒れた状況ではなく、リスク値は60~70ほど。

ただ、ランディングが非常に厄介なことになるなとは思ってはいました。

実は、しばらく飛んでいればその間に風が一時的でも収まるタイミングが来ると思っていたんですがそうはならず、それが来た時にガガッと降ろせばいいやという思惑が大きく外れ、風はより強くなるような感じもありましたので、リスク値80~90位のランディングを敢行せざるを得ないという感じに。

結局、着地間際に大潰れして、事故&怪我になりそうになりました。が、結果落ちていないからリスク値は90!と言い張ることもできるかもしれませんが、冷静に分析すれば結果的にはリスク値は100を超えていて、うまく降りられたのは「かなりラッキーだったから」だと思います。

ただ、あの状況でも精神的に「あかん時にとんでしもたなあ・・・。嫌な感じで飛ぶくらいならやめとくべきやなあ。」と思うくらいで、特にパニクったり、必要以上に恐怖を感じることなく、着地まで冷静であったのだけは悪くなかったかと思います。

まあ、フライト中に必要以上に恐怖を感じるかもと思ったら、さすがに飛んではいない訳ですが・・・。

という事で、あの時のリスクは、完全な条件の読み違いと、地元の方がフライトをやめたのに自分は出るという慣れていないエリアにも関わらず、愚かにもフライトを強行したつけと言えるでしょう。

なお、落ちてしまう時というのは、僕の経験上はリスク値が高い時より、低い時の方が多い気もします。リスク値が低いから油断しているという訳ではないと思いますが、個人的には落ちるというのはリスク値に関係なく、どんな条件であっても起こりうると思いながらフライトしています。

また老婆心ながら、大会でのリスク値80というのは結構ヤバいような気もします。その設定をどのように取っているかという部分もあると思いますので、100まではベース安全で、それを超えたら落ちそうになりそうとかの設定だったら問題ないと思いますが・・・。

ちなみに僕の場合は70以上は落ちそうになる可能性増大っていう感じの設定です。

その個人的設定で80と聞いた場合を書きますと、それが精神的なものだけのリスク数値であればいいような気もします。ただ、入れ込みすぎているのも、平常心から遠く離れすぎていると、自ら大きなリスクを呼び込んでいる可能性があるとも思ったりします。

まあ、同じ精神リクス値80でも、アドレナリン放出度90%とかでいい感じに研ぎ澄まされ、周囲がいつも以上に広く見えるような効果がある時はいい方に働くとも思いますが・・・。個人的にはそういう事はほんとまれだったりします。

ただ、精神面・条件面・技術面の総合的なリスク値が80以上というのは、大会という日常ではない緊迫したフライト条件であるからこそ、よりよろしくない気がします。危ない場所への突っ込み、周囲警戒欠如による接触の危険性、無理な粘りでの山沈やアウトサイド。などの様々なリスクが頭に浮かんできたりしてしまいます。

どんな環境であっても大体50以下にお互い押さえられるようにできればいいですね。

って事で怪我なく、無駄なフライトストレスのないよう、安全に楽しく飛びましょう。

  1. 2009/11/07(土) 00:17:30 |
  2. URL |
  3. 高鬼 #bBUgYcK2
  4. [ 編集]

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